光センシング技術

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テラヘルツ波とは?

  テラヘルツ波は電磁波の一種
  ものを透過するテラヘルツ波

テラヘルツ波は電磁波の一種

 テラヘルツ波とは何か?を説明する前に、電磁波とは何かについて説明します。電磁波は大気中を伝搬する波の性質をもっています。波を特長づける量としては振幅、位相、周波数(波長)などがあります。ここでは波の種類を周波数ごとに分けて説明します。

 電磁波は我々の生活の中でも多く利用されており、耳にする電波、赤外線、光、紫外線、X線などはその呼び方が違うだけで、実は全て電磁波の一種です。1秒間に振動する回数を周波数といいヘルツ(Hz)で表されます。同じ電磁波でもその周波数によりその性質や用途が変わります。

 図1が電磁波の名称と周波数の関係図です。電波はメガヘルツ(MHz)やギガヘルツ(GHz)で区分されることが多く、光は波長で区分されます。光は波長で表されることも多いため、図には波長を併記します。我々の目が感じることが出来る光は可視光線と呼ばれ、波長で言うと380(紫)~680(赤)nmに位置し、電磁波の中でも限られた領域であることが分かります。波長が長くなると赤外線、ミリ波、電波と名称が変わります。また波長に応じて用途も変わります。例として赤外線はテレビリモコンや暗視スコープ、ミリ波はWi-Fi、電波はテレビ・ラジオなどに利用されています。このように同じ電磁波でも周波数や波長が変わると、私たちの生活の中での用途も変わってきます。

  テラへルツ波も電磁波の一種です。1秒間に10の12乗(1T)回振動する電磁波であることから、テラヘルツ波として区分されるようになりました。明確な区分はないのですが、およそ0.1~10THzの周波数帯域に位置する電磁波を総称してテラヘルツ波と呼びます。

 では、テラヘルツ波がどの帯域にあるのかといいますと、遠赤外とミリ波の中間に位置しています。光と電波それぞれの末端に位置することから、双方どちらの技術を使用しても取り扱いが難しい領域に位置しています。そのため未開拓の電磁波領域と呼ばれていました。次節では、このテラヘルツ波の特長とその用途について説明したいと思います。

図1:電磁波の名称と周波数の関係
図1:電磁波の名称と周波数の関係.

ものを透過するテラヘルツ波

 テラヘルツ波の特長の1つとして、電波のような透過性の高さがあります。テラヘルツ波は光よりも波長が長く、散乱しにくいため、物質の内部へ侵入していきます。また、テラヘルツ波は電波よりも波長が短く、光のようにレンズで集光できるため、イメージングを行った際優れた空間分解能を達成できます。

 テラヘルツ波は透過性がよいという特長から、X線と混同され易いのですが、テラヘルツ波の透過性はX線とは異なりその物質のもつ分極や分子構造によって決定されます。また、テラヘルツ波のエネルギーはX線と比較すると非常に低く、被爆の恐れなく使用できます。これらの性質をうまく利用することで、テラヘルツ波はX線では識別しにくい対象物の非破壊検査を可能にします。

 特に近年の産業応用への試みで、テラヘルツ波は我々の目では不透明に見える金属以外のセラミックや紙、木材、プラスチックなどに対して透過性がよいと分かってきました。そのため、テラヘルツ波は従来の検査方法では検査が困難であった異常や欠陥を検査できる新たな非破壊検査・品質検査技術として有望視されています。

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